中谷 美聡
- 中谷 美聡京都市醍醐北部地域包括支援センター・社会福祉士
大好きな人たちに
勧めたい場所で働く大学に入った当初は高齢の分野に進むか、障害の分野で働くかで悩んでいました。進路が定まったのは、地元の喫茶店でのアルバイトが大きかったと思います。そこは地元で長く愛されているお店で、高齢の常連客もたくさんいらっしゃっていました。私も昔からおばあちゃん子だったので、常連さんとの会話はなによりの楽しみでした。仲良くなるにつれて、高齢者福祉に携わりたいという想いが高まり、その時に出会ったのが同和園です。
インターンシップに参加した際、理念の一つである「その人らしい生活の実現のために寄り添うケア」がそのままに行われていたことが強く印象に残っています。お世話になった方がもし施設を利用するなら、ここは自信を持って勧められる、自分自身もこの場所で成長できる、そう感じたことで入職を決めました。介護職を経て、今は相談職として働いていますが、インターンシップの時に感じたことは、そのまま働きながら実感に変わっています。
なぜこのケアを
するのだろう
介護職員として配属された頃は、高齢者福祉に絞って勉強してきたわけではなかったので、不安もありました。しかし、当時の上司から、全部のケアには根拠があって行っていることを教えてもらってから、働き方がわかりました。常に、なぜそのケアになったか、なぜこのご利用者にはこのケアが必要かを問われるたびに根拠を突き詰めました。それは上司に問われなくなった今でも自分の中で息づいています。同和園で働く職員は皆、そのケアがご利用者にとってその人らしくいられるものになっているかを考えた上で行っています。だからこそ職員同士互いに説明できますし、ご家族の問いにも丁寧に答えることができます。
介護職員の経験が今の相談員の支援のありかたにもつながりました。地域の人と関わる中で、その人自身を見つめて、その人らしい生活のために何ができるか、そこを大切に支援を行っています。
それぞれが違う人だから、
より良いものを目指せる
最近は法人の就職説明会に働き方を紹介するために出席することも増えました。そこでよく聞かれるのが「人と絶えず関わりながらする仕事の実際」です。私は同和園では自分や周りの職員、ご利用者の特性が組み合わさって個別のケアにつながっていることを伝えています。
現場では職員同士の密なやり取りも多く、自身のこともわかってもらいながら仕事をします。最初は、様々な考えを持つ職員と一緒になって働くのは難しいと思うこともありました。しかし、私たちの違いは、逆に捉えれば個性や特性です。それぞれ得意なこと、苦手なことが当然ありますが、それを組み合わせれば、誰かの得意なことが私の苦手なことを補うこともできます。苦手なことを一人で頑張るのはしんどくなってしまいますが、自分自身のことを知って、互いの得意なことを生かして協力すればいい。それはご利用者との関わりも同じで、統一基準のケアの上に、私とそのご利用者だからこそ生まれる工夫があります。そのような個々の特性からの視点は、皆でご利用者のケアを豊かにするためには重要です。それぞれの特性が組み合わさりながら行うケアは、人の人生に寄り添う形になっていくと感じています。